見守り安心コラム

社長は動き過ぎに注意

個人事業主や社員10人以下の会社では 社長さんが全ての業務に関与し 自らが引っ張っていく姿勢は社長さんのパフォーマンスが最大限に発揮され 能力や情熱が推進力となり 事業が効率的に動き成長していきます

しかし その規模が大きくなればなるほど 社長さんが動き過ぎるとマイナスに作用します その理由は ヒトが育たなくなるからです 例えば 社長さんが全ての業務に口を出し 細部にわたって指示を出した場合には 社長さん自身は納得して満足するかもしれませんが 社長の判断や裁量で一つで決まる仕事には 社員の達成感や満足感はありません

社員たちは仕事の意義を見つけられなくなり ヤル気を失って会社を去っていくか 社長の指示待ちで動くようになり 仕事も惰性でこなすようになります そういった流れが 社内に蔓延することで 社員の自尊心は育たず 仕事の精度も落ち 会社の経営は停滞するか 傾いていきます

社長さんが 動き過ぎることで 会社がダメになっていくケースが散見されます 社長さんの仕事は 社員たちの力を活用できる環境をつくることです 社員の力を最大限活用することで 社員の自主性やアイディアにあふれる 活力ある成長する会社になります 会社の成長に合った 社長さんの業務への関与が 事業を成長へと導きます

売上よりも売上総利益(粗利益)を

決算書の損益計算書で 一番上の 売上-売上原価=売上総利益(粗利益)で表示されているのが 今回のテーマである「粗利益」です 会社にとって儲けが大きいのは 粗利益の大きい商品で 粗利益の大きい商品が売れ続けることこそが 会社の儲け すなわち 会社のおカネを最大化させます

そんなことは 当たり前だと 社長さんから反論されますが ことのほか 粗利益の大きい商品の販売に 目は向いておらず 粗利益の小さい商品も含め 売上高全体を大きくすることに 注力しているケースが殆どです

売上高を追わず 粗利益を追って下さい とアドバイスしたいのは 粗利益の大きい商品こそが 会社を潤し おカネを残します 売上高全体が伸びても 粗利益が伸びないことは往々にしてあります  粗利益を伸ばすのは 自社の商品・サービスに対して 変える・やめる・始めるを試行することです

例えば 同じ商品を売り続けず 商品の機能を変えたり 原料を変える また 儲けが少なくなってきた商品の販売をやめる そして ライバルが提供していない 商品やサービスを始めることで 自社の商品・サービスを取り巻く環境を よく見てよく考え 粗利益の少しでも大きい商品を取り扱うことが大切になってきます   

 

顧客の声を鵜呑みにしない

社長さんが 外出先でバッタリ顧客と遭遇することがあると思いますが その際に「お宅のA君には色々とお世話になってますよ いい社員ですね」一方では「B君は融通が利かない 何とかしてほしい」と営業社員の高評価だったり 逆にクレームを受けたりする場合もあります

翌日 A君の実績をよくよく確認してみると 利益率が極端に低いことが分かりました 会社のためにならないような 妥協をしてまでも  外面を良くして 営業をしている可能性が疑われ 会社の利益にとって 実はマイナスということが否定できませんでした 一方の B君本人を呼んで確認をしてみたところ 会社に良かれとの判断から 得意先の 執拗で無理な値引き要求に 応じていないとの話でした

お客様は神様ですから その声は最大限尊重されなければならない一方 客の話は話半分とも云われ 半分は事実以外の お客にとっての都合の話も含まれています 社長さんは 顧客の声を鵜吞みにせず 営業マンの性格や 取引先の特性を十分に把握して 冷静に 取引の判断をしていく事ことが求められます 

 

社長は見た目が大事

多くの社長さんは 仕入先や販売先から「儲かってるね」「景気が良さそうだね」と言われることがあると思います 社外の人は実際に 会社の帳簿や決算書を見て 発言をしている訳ではなく 社長さんや社員の見た目で 判断しているケースが殆どです

特に社長さんの見た目は大事です 例えば 社長さん自身も 外部の会社を判断する場合に 同じように その社長さんや社員の見た目で 判断をしていると思います それだけ見た目はとても大切です ブランド品を身に付けることも効果的ですが 表情をよりよく見せる工夫も必要です

鏡の前で毎朝 肌の手入れをしたり 笑顔や表情や仕草を 意識してチェックしている 社長さんも多くいらっしゃいます 多くの人から見られ 多くの人に対応していく立場ですから ちょっとした芸能人です 

もしかして 靴下に穴が開いていたりしませんか? 社長さんは 会社の広告塔でもあります 日々 芸能人並みに見られることや 対応することを念頭に置き 常に意識して 身だしなみを整え 見た目を大事にしていくことが 先ず求められます   

 

PLだけでなくBSも重要です

売上や経費や利益に対して関心が高く PL(損益計算書)にしか目を向けない 社長さんが多くいらっしゃいます 経営を直接的に表す指標ですから インパクトも大きいからだと思いますが BS(貸借対照表)にも 利益に繋がる指標が示されています

預金残高は資金繰りに直結します 資金が少ない場合は 仕入れや投資も叶いません 棚卸資産(商品)が多ければ 不良在庫がストックされており おカネに換金されない商品 すなわち不良資産になっています また 売掛金や受取手形の中にも 不良化して回収できないケースもあります ひいては資金繰りにも影響します

ついつい PLに重きを置きがちですが 足元を現すBSの指標も 経営戦略には必須です 社長さんは両方の数字を活かして 最善の結果が出るよう BSやPLを駆使して 経営を陣頭指揮していくことが求められます

立ち位置を理解しない上司や幹部を排せよ

中小企業でも「大企業病」のような状況に陥っている会社があります 商談の企画が社長まで通り難い会社では 社員は直属の上司や幹部がどう思うのかを まず考えなければなりません いいアイデアでも「これは上司が好きではない」「その為には こんな話をしなければならない」という具合に 提案そのものではなく 上司の好みそうな企画になりがちです また 上司が通しそうにない企画は 表に出ることもありません

更に 部署間の権限や対抗意識が強い場合は「筋を通す」ことが要求されます いわゆる「根回し」です お客さまにとっていい提案でも 他の部署に 先に話を 通しておくという手順が 優先されれば 結果的に社内の調整が優先され お客様への提案は後回しになります

中小企業は大企業に較べ フットワークが軽く スピーディーな対応が最大の武器です にも拘わらず 大企業に腰掛けているような 上司や幹部のおかげで 提案の機会さえ奪わかねません 前例に踏襲されて身動きが取りにくい 大企業の行動を真似る必要はありません 中小企業の社長さんは 常に 現場の声に耳を傾け 立ち位置を理解しない 上司や幹部を排すことが 中小企業の強みを出すためには必要になってきます

買い過ぎの資金流失に注意する

折しも 原油高による原材料高騰で 食料品を中心に 値上がりやモノが不足気味の状況が 続いています 「社長○○○が値上がりしています モノも不足しています 多めに買っておいていいですか」と云うやりとりが 社内でも多くなっています  

ついついOKを出し 現場任せにしてしまったため 色々なモノを買い過ぎて 必要以上に確保してしまい 資金が不足してしまったと 嘆く社長さんのお話を耳にしました 現場では モノが無いと仕事になりません 高い価格でも余分に発注しがちになります お金の心配よりも その品物が欠品しないことを優先するからです

大抵の場合 一時的に不足しても しばらくすると 正常な状態に戻ります すると とたんに価格は下がります 昨秋に起こった 半導体不足による ガス給湯器や ウォシュレットなどの一時的な不足は 年が明け 去った3月の決算セールでは 高騰時に比べ大幅に価格も下がりました 当然ながら 在庫を抱えたメーカーは もう高い価格では 売れなくなることから 価格も戻ったようです  

モノ不足や高騰で ついつい買い過ぎて 資金を流出させてしまったり 手元に必要以上に モノを確保してしまい 在庫管理が煩雑になったと云うケースもあります 日常の流れとは違った流れになった時こそ 社長さんには 慌てず冷静な判断が求められます

 

社長は外に目を向ける

社長は常に外へ目を向けなければなりません 社長室でふんぞり返って 社員や幹部を睨みつけても 業績は上がりません 市場や顧客等の外部に目を向け 接触を図り ビジネスチャンスを手に入れる事こそが 社長に与えられた職務です

ドラッカーは云っています 「マネジメントの本質は 内部管理ではなく 起業的側面にコミットしなければならない」と 事業活動とは 会社内部で行われるものではなく「市場活動」です 成果は外にしかありません 社長はビジネスチャンスを手に入れる事にコミットしていきましょう

厳しい時こそ顧客第一で

大阪商人の精神は 顧客第一と徹底したサービスだったと云われています 相手目線でモノを考え 節度ある判断基準を持ち 相手の利益を共に実現する姿勢が 会社や事業を永続させています 

「始末」帳簿の始まりと末は帳尻を合わす「才覚」ひらめき・創意工夫「算用」赤字は出さない・そろばん勘定 を徳目とし お互い損得なく 他者を助けることが出来る時はどんどん助け 助けてもらえる時はどんどん助けてもらう

こうした経営姿勢で 顧客との信頼を厚くし 経営基盤を拡充させてより強固にしています 大阪発祥の武田薬品・サントリー・ハウス食品・パナソニック等の老舗企業ほど 顧客第一の精神が色濃く残っていると云われています 社長さんは厳しい時こそ 顧客第一が肝要です 

売上と利益の認識

そこそこ売上があがっているのに 利益が少ない会社や 赤字経営の会社は とても勿体ない話です  それが原因となって 力尽きてしまえば これまでの 社長さんの努力や苦労 時間やおカネはすべて この世から消えてしまいます

利益が出ない状況が続くことによって それが現実のモノとなってしまいます 折角 売上があがっているのに 利益が出ていない場合は 先ずは「勿体ない」と思うこと そして 勿体ないを続けると  必ず「罰」が当たると 認識することが大切です

この認識があれば 利益をあげるための意識がアップするので 経営の質も変わり 売上と利益が拡大していく好循環を生みます 売上を大切にしつつ 利益を軽んじないこと 利益を見落とさないこと 利益があって会社は継続できる ということを 社長さんが決して忘れないことが肝要です