イエスマンを排する

ある社長のぼやきです、「ウチの会社の幹部が頼りない」。
社長は会社の全体を把握しています。経理も営業も製造も全部です。それは当然です、それが仕事だからです。全体を見ることが出来なければ、経営はできませんから。
幹部の方はどうでしょう、経理部長は経理だけ、営業部長は営業だけになっていることが多いです。
そうすると、社長のような経営目線になりたくてもなれません。頼りないと思われても困りますって話です。

よくよく伺うと、経営の重要事項は、幹部の意見は参考にするが全部、社長が決めているとのこと。
社長、これをワンマンって言うんですよとアドバイスすると、幹部の誰もがこの会社を作ってきたのは社長だから社長が会社や業界のことを一番良く知っているから、判断には間違えがないと思うと口出しするなとか一切言ってもいないし、同調する意見が多く、ワンマンと言われるのは心外であると。

確かに、社長の性格は強気な感じはなく柔和で、ワンマンと云う印象もないのですが結果的にワンマン経営になっています。更にワンマン社長に典型的な幹部も結果的にイエスマン化しています。
社長が恐怖政治を敷いて意見が言えないイエスマンでなく、社長に任せればいいと責任転嫁のイエスマンになっています。ワンマン企業の特徴は後継者も居ないことです。このことも結果的に「ウチの幹部が頼りない」に繋がっています。

社長の人の好さが結果的にワンマン経営化した原因です。まず幹部には、その部門だけでなく会社全体を把握してもらう。そして経営の重要事項は幹部を集めて決定する。例え社長が決めても全体で決めた、幹部も関与とした、その感覚を共有する、こういった機能を持たせる会議やミーティングを開催すること。

そして何よりも、先に行うのはイエスマンを排すること。急に意見を出せと言っても難しいものです。
ただ、普段から意見を求めれば、考える習慣がつきます。幹部がイエスマンならその部下もイエスマン化しています。会社は社員の意見具申も取入れなければ必ず崩壊しますと、アドバイスしました。
見るからに強引なワンマン社長のワンマン経営はよく見聞きしますが、柔和な方でも結果的にワンマン経営になることもあるんだなぁと勉強ななりました。会社も色々、社長も色々ですね。

社員も幹部も経営に関与で

ワンマン経営の場合には、社員や幹部は危機感を持っています。社長が普段から怖いのもあるのですが、社長がこけた場合とか、会社の収支状況は大丈夫なのか等、危機意識も強く、社員や幹部間の情報も共有され結束は強い場合が多いです、(社長との繋がりは脆弱ですが)

ただ、ワンマン経営以外の一般的な企業になると、社員も幹部も危機感は弱くなります。それは、ワンマン経営のように会社が大丈夫なのか?社長が悪さをしてないか?等の意識が働くことがなく、経営に疑問を抱いたり不安を抱いたりしないからです。

よく経営者の方から、社員も幹部も危機感がなくて困る、といった話を聞くのも、そういった理由からだと思います。
では、ワンマン経営がいいのか?という話ではありません。危機感がないのは、危機を抱いていないから、つまり会社は大丈夫と思っているからです。そういった環境では、危機感を持てと言っても持ちにくいものです。

こういったケースでは、社員にも幹部にも会社の状況を把握してもらい、経営状態を知らせ関与させるのが有効です。
月次決算を発表したり、収益情報を公開したり、不良債権を把握してもらったり、経営計画の途中経過を社員で検討したり計画を変更したり、普段から経営に関与すれば危機意識も自然と芽生えてくるものだと思います。
社員も幹部も経営に関与で、会社の状況を把握し、全員でどうしていくかを考えていけるようになれば常に危機感を共有できる強い企業へと生まれ変わります。