尊厳死宣言、口頭だけでは難しい延命治療拒否

救急搬送されて、救命のために付けられた人工呼吸器ならまだしも、入院時に家族から延命治療を望まない旨の意思表示をしても、容体が急変したとのことで、担当医と病院長が協議して人工呼吸器を装着した、同意書に署名をして下さいと求められた事例があるそうです。何のための、そして誰のための医療なんでしょうか、とても悲し想いになります。
前述しましたが、近年、医療の発展と治療の高度化が進んだものの、患者の意思は置き去りになっている感が否めません。
生命に対する尊厳や畏敬の念は何よりも尊いものでなければいけないと思います。確実な尊厳死を迎えるには日本尊厳死協会に加入したり、尊厳死宣言を公正証書で興し法律のプロである公証人に認めてもらうのが確実です。

無論、普段から延命治療を望まない意向の表明と、コミニュケーションあっての話になります。

尊厳死宣言公正証書について

60代の男性でしたが、実母を一昨年に亡くされたそうです。元々持病があって体は弱く、一旦入院されてから退院し自宅療養中に倒れられ、救急搬送されて2年弱入院期間があったそうです。お父様はお若くに亡くなられ、お母さまはおひとりで生活されていたとのことでした。
病気の治療方針については特にお母さまと話はされなかったようです。救急搬送の際にはご近所に住んでいたお母さまの妹も駆けつけてくれたそうです。医師からは自立呼吸が難しくなるから人工呼吸器の装着についても、考えいて下さいと伝えられたそうです。そして装着した場合は入院が長くなるケースがあるとの説明もあったそうです。

その時の判断を誤ったと話をして下さいました。単純に死なせるのは可哀想だし、叔母様からも治療費は出すから何でもしてあげて頂戴と頼まれた手前もあって、あまり深く考えず対応したことが結果的には延命治療となって時間的にも金銭的にも身体にも大きな負担だったそうです。
チューブに繋がったお母様をみて、そこまでして生きたかったのかなぁ、そこまで看病したと自己満足したかっただけなのかなぁと何度も自問自答し苦悩する日が多かったそうです。人生で一番辛い時期だったそうです。その反省を踏まえて自分は尊厳死宣言を作成すると決めたそうです。

医療が人命優先であることはわかりますが、医師をはじめ医療機関は人工呼吸器をするとどうなるか等、家族の今後の負担についても、もっと深く考えて説明をして欲しいと思います。誰しもその選択を迫られたとしたら、感情的になり冷静な判断は難しいのではないでしょうか。
特に身近な経験もなく、必要であるからと尊厳死宣言を作成される方もおられますが、今回のように自らが尊い経験をされ作成される方もいらっしゃいます。 
家族に心配をかけないように日頃から、病気については治療方針や希望を伝えておいた方が安心できますね。