尊厳死と安楽死の違い

尊厳死とは、不治で末期に至った患者が、本人の意思に基づいて、死期を単に引き延ばすための延命治療
を断り、自然の経過のまま受け入れる死のこととされています。
一方、安楽死は回復の見込みがなく、苦痛の激しい末期傷病者に対して、本人の意思に基づき、薬物を投与
するなどして人為的に死を迎えさすこと。

安楽死が患者の「苦痛からの解放」の目的として、薬物などによって人為的に死をもたらすもので「積極的安楽死」と呼ばれるのに対して、尊厳死は「人間の尊厳を保って自然に死にたい」という患者の希望を叶えることを目的として人工的な延命措置をやめて自然な死を迎える「消極的安楽死」と呼ばれています。
このように「何が目的」であるのかと「どのように死を迎える」かが違いますので注意してほしいものです。

尊厳死宣言 延命治療の果てに…..

先日TV番組にて日本の高齢化について考える番組がありました。
国民の高齢化によって医療費が今の予算では賄えず、消費税も10年後にはあと5%引き上げないといけないと云う試算でした。
増大する医療費の中でも、延命に対する治療の高度化によって延命期間が延ばされ、長期の入院患者が増加し医療費を圧迫しているとのことです。
脳死判定や呼吸判断等、日本では「安楽死」が認められていないために、自分の死に方に際しての選択肢がありません。
私の周りにも、親御さんが入院し寝たきりになるまで10年間、病院へ通った方がいます。時間的にも金銭的にも計り知れない負担だったと思います。私が同じ立場で入院するのなら延命の治療はやめて貰いたいと思ったのが率直な感想です。

日本全体も高齢化社会ですが、人口の20%を65歳以上が占めると高齢化社会と定義されています。
我が沖縄県でも、人口148万人のうち65歳以上の方が30万人を突破し他府県と同様に高齢化社会となっています。
医療を取り巻く環境は厳しくなり、同様に高齢者の入院で家族の負担は治療の高度化で益々大きくなると思います。
自分自身についてのエンディングも考えていきたいものです。

このTV番組を見られたお客様と安楽死の話をしておりました。一旦は法制化の準備もあったようですが中々に進まないのが現状です。
安楽死のように直接的でないのですが、「尊厳死宣言」という公正証書を作成し延命治療を望まない旨の意思表示が出来る制度があり当事務所でも取り扱いしていることを話したら、聞いたこともないしHPにも載ってないぞとお叱りを受けHPを改訂しました。

公正証書以外では、日本尊厳死協会が行うリビングウィル(治療に対する希望表明)で尊厳死が尊重されます。
こちらはお客様に、ご自分でネットか郵送で申し込み手続きをやってもらうことになりますが、年会費が年間2千円と加入し易くなっています。いずれの場合にせよ、周りのご家族や病院に付き添いされる方々に普段から延命治療を望まない旨伝えることが一番に重要です。沖縄でも高齢化が進んでいきます。まずはご自身でこれからの治療のあり方の希望を表明していきましょう。