部下の面倒を見る人と仕事の面倒を見る人

欧米の会社組織の主流は、マネージャー(経営管理者)制度を活用しています。日本では部課長・役員制度が主流です。
大きな違いは欧米では、現場の経営管理者におおきな決定権を与え効率よく、経営を行うことが文化として根付いているようです。
例えば30人位のチームがあったとします。仮に営業部員でも生産部員でも違いは少ないようですが、現場に対する経営判断はマネージャーが行い経営者を兼ねています。そして部長や課長や係長などの役職者もおかずに人員の管理はサブマネージャーが行います。
日本の多くの企業では、営業の大口取引先との価格交渉や決定などは、営業部長が担当役員と協議し、その後、更に取締役階で付議する、といったように、丁寧に時間を尽くす分、スピーディーな対応がとれません。

一方、マネージャー制度ではマネージャーに最大に権限を集中させ、現場で判断させるケースが多く、役員会や取締役会など関与も殆どいらないようなシステムになっています。また日本のように取締役、常務、専務のような役職者は稀でサブプレジデント(副社長)がマネージャーを管理し、ディレクターがサブマネージャーを管理すると云う極めてシンプルなスタイルです。当然プレジデント(社長)も一人です。
その分、マネージャーは実力主義で、業績が上がらなければ人事異動や減俸等の信賞必罰は、日本と違って日常茶飯事だそうです。

私は会社員時代に、米軍の契約事務所と云う領事館に隣接する、アメリカ合州国の行政機関で働く方とお話をしたことがありますが、民間企業でなく行政機関でもマネージャー制度であると知らされ、行政も民間も同じシステムで仕事をするという責任の厳しさを感じました。
国の文化の違いで、働くシステムが随分違うモノになっていると実感しました。

ドラッカーの経営権限者(マネージャー)に対する考察です。
事業の課題などの方向性を決める大きな意思決定は、プレジデントやサブプレジデントやディレクターを中心とした上部機関で決定される。
しかし、今後、どのような事業活動を行い、その為に何をしなければならないかは最前線の現場から見えてくる。その為、仕事は下から組み立てられてくる。
上部機関の意思決定の殆どは最前線の現場によって規定される。上部機関の決定は最前線の現場を助けるものにすぎない。であるならば、であるのならば、上部機関は最前線の経営管理者(マネージャー)に最大限の権限と責任を移譲しなければならない。

日本の企業でも執行役員制度を導入しておりますが、実質的には取締役よりも下位にあたり、権限も少なく、単に論功行賞的な制度になっています。
日本でも、経営理論に裏打された、会社経営を考えてみるのもいいのではないかと思います。