家族信託を考える

不動産管理の認知症対策で例えば、アパートを父親から息子に生前贈与した場合は、息子さんに贈与税が発生します。
そして不動産の名義変更による登録免許税も発生します。更に不動産取得税が発生します。
所有権が息子さんに変わった場合に、息子さんがアパートを売却したり、借入の担保として差入れする心配があります。
また、アパートの収入を息子さんが使い込む心配もあります。

アパートの管理が息子さんで、アパート収入は従来通りお父さんに入ってくる 自益信託型の家族信託を設定した場合、登録免許税は贈与(20/1000)から3/1000と割安になります。不動産取得税はゼロ、かかりません。契約期間も設定すれば30年の契約が可能です。そしてお父さんがなくなった後に相続手続すれば、契約期間中にお父さんが認知症になっても修繕契約や賃貸契約を息子さんが代わって行えるようになります。

そう云ったことで、贈与によるアパートの売却や金融機関への担保の差入れ等のリスクを回避し財産を守りことも可能です。
ただデメリットもあり、それは信託計算に基づき税務申告が必要になります。従来の申告をご自分でなされていらっしゃる方は税理士等に依頼しなければならないケースが多くなります。普段から税理士を利用されている方はそのままの利用でも対応可能です。
あとは、家族のいる方でないとこの制度はメリットがありません。

平成18年の信託法の改正によって家族信託が多く利用されるようになりました。高齢化社会が進展し社会問題化している、今、不動産管理の認知症対策では家族信託は大変に有効であると思います。