遺言書、相続について

相続とは、亡くなった人(被相続人)の権利や義務を引継ぐことです。
それを引継いだ人や引継ぐ権利のある人を、相続人といいます。

配偶者は常に相続人です。(夫⇒妻、妻⇒夫)
第一順位は子、子がない場合は直系尊属(親)、子も親もない場合は(兄弟姉妹)

例えば、夫婦と子(長男、次男)2名の相続で、お父さんが亡くなった場合、相続人はお母さん、長男、次男ですが、長男が既に亡くなり子供(お母さんにとって孫)のいる場合、孫が長男に代わって相続します。
これを「代襲相続」といいます。

遺言書、遺留分について

遺留分とは簡単に言うと、一定範囲の法定相続人に認められた最低限遺産を取得できる権利です。
例えば、配偶者がいるにも関わらず、財産をすべて愛人へ渡すことを遺言書に書いても認められないということです。

仮に夫の財産が1億円で奥様と子供2人いれば、奥様の法定相続分が1/2お子さん達がそれぞれ1/4づつですので奥様は5,000万円、お子様がそれぞれ2,500万円になります。
この場合の、奥様の法定相続分が1/2、その1/2が遺留分になりますので奥様は遺留分として2,500万円の権利があり、2,500万円を侵害される分については「遺留分減殺請求」が可能になるので、愛人に対してこの請求をすることができます。最低限の遺産が守られる権利として覚えておきましょう。
同様に、お子様達も、この権利2,500万円の遺留分1/2の1,250万円を請求することが可能です。

遺言書、財産少なくても揉めてます

遺産分割で揉めて家庭裁判所に持ち込まれた審判・調停の事件の74%が5,000万円以下の事件です。

そのウチの30%は1,000万円未満の事件です、やはり、これが庶民の現実ですね。ただ財産が少ないから揉めることが無いってのは、現実的でなく、単なる気休めですねぇ。書いてた方が安心です。

しかし1,000万円から弁護士費用が出ていってしまうを考えると、相当割高に思えます。亡くなった方の意思表示があれば、最終的に揉めても、費用0円で終わる可能性もあります。これは激安です。

遺言書があったら助かるケース

最初に、兄弟だけが相続人になるケースです。

両親のうち、どちらかの親御さんが亡くなり、例えばお、母さんと子供2人のケースです。

相続分は1/2づつです、キッチリ半分にできれば問題ありませんが、揉めるのは持家と現金等分けられないケースです。遺言書で誰に譲るか指定しておけば、お母さんの誰にこの家を譲りたかった気持ちが把握できるので尊重されやすく、揉めるのも少なくなります。

次は、子のいない夫婦です、どちらかが亡くなると、相続は配偶者が3/4と兄弟1/4です。兄弟1人の場合1/4、2人の場合は1/8ずつで配偶者は変わりません。亡くなった配偶者の兄弟姉妹が多いと、意思確認等も複雑になり預金の引出しも簡単にはできません。ですので遺言書で、財産は全て配偶者と指定すれば1/4の財産は換価もしやすいので、揉めるのも少なくなります。
最後は、離婚歴のある配偶者がいる場合です。前婚で子供がいれば、その子供も相続する権利があります。
また両方とも離婚歴がある場合は、その両方のお子様も相続の権利があります。今の婚姻でもお子さんを授かっているなら、相続関係がより複雑になるので、遺言書は必須だと思います。

列挙したケースは、特にトラブルが予想されるケースです。想いを形に代える遺言書の作成があなたの死後をきっと助けてくれますよ。

遺言書 想いを形にしましょう

「遺言書を書くと すぐ死んでしまいそうで縁起が悪い」
「ウチは遺言書を書くほど裕福じゃない」
やはり、生きていく気力に満ちあふれた人は、死後のことなど気にもしないのが実際のところです。
書くタイミングは人それぞれなんだなぁと私自身も感じています。

ある方から問い合わせがありました。元気な奥様を、去年、心筋梗塞で亡くされた63歳の男性で、まさか年下の奥様が突然に亡くなるとは思ってもみなく、亡くなってから俺と結婚して良かったのかとか他の人と結婚してたら、もうちょっと生きてたのではないかとか、俺が酒ばっかりだったから、早く逝ったのではないか、パートナーを亡くした方の思いは、どれほどのモノなのか、後悔や懺悔を繰り返し日々憔悴していたようです。

その方のお話は週刊誌で遺言書の特集があって、いずれは書かないとなぁ、妻のこともあったから早目にしようかな等々で過ごしていた中、夢に奥様が出てきて「ちゃんと書いたのと?」と言った途端に目が覚めたそうです。
ああ、これは遺言書のことだと思い、知り合いを通じて私共に連絡がありました。
縁起が悪い、財産も無くても書いた方がいいんですか?と問われました。遺言書を書いた方は人間ですから早かれ遅かれ皆死にます。
死亡率は100%ですよと申し上げたら、苦笑いされました。

お子さんが二人いて、財産といっても、マンションの一室と現金のみで争いにはならない、からと書く必要はないと思っていたようですが、
遺言書で指定の無い場合の対応や遺留分のお話をしましたら、是非、書かないといけないと、書くことを決意されました。
マンションには住まなくて売却しても、奥様やこれから入るご自身の仏壇のことをどちらかに管理してもらいたい、その分の遺産は多くあげたいとの要望もありました。エンディングの形は表明しなければ伝わりません。遺言書で指示しなければ遺族にとっても違ったエンディングを迎える場合があります。来月の一年忌が済めば、ご長男も結婚されるようです。いい時期にいいお手伝いが出来る自分の仕事に感謝するとともに、奥様自らの夢のご出演できっと天国で喜んでおられるだろうと涙致しました。色々なこと想いは形にしていきたいですね。