相続を争族にしない「遺言書」

一般的な遺言書の形式は3種類

自筆遺言証書

自筆証書遺言は自分で紙に書き記す遺言のことで、最低限のペン印鑑だけあれば、誰でも気軽に作成が可能で費用もかかりません。そのため多く利用されています。
但し、書き間違えや内容が曖昧で無効になってしまったと云うことが多いので注意が必要です。
2020年7月10日より法務局において有料で保管制度が利用できるようになるのに伴い、家庭裁判所の検認も必要なくなり、財産目録はパソコン等で作成できることから利用する方も多くなると思われます。

法務省 保管制度

法務省 遺言改訂

> 法務省HP

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言書を公正証書にしたもので公証役人役場で作成します。公証人と呼ばれるプロが法律の規定どおりに「公」の書類として作成するので費用は掛かりますが、確実に有効な遺言書を残したいときや、相続財産が複数ある場合に利用されています。
当事務所でも、一番にお勧めしています。

> 公証人役場HP

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、公正証書遺言と同じく公証役場で作成されますが、遺言内容は公証人にも知られずに作成できるので亡くなるまで絶対に秘密を守りたい、誰にも内容を知られたくない場合に利用されていますが、利用する方は非常に少ないです。

※1…家庭裁判所が遺言書の存在とその内容を確認するために必要な調査を行う手続き
※2…法務局で保管する場合には、遺言書の検認が不要

> 公証人役場での費用参照(財産価額によって変動)

遺言書を作成したほうがいいケース

  1. 65歳以上である。
  2. マイホームを所有している(共有している場合も含む)
  3. すでに配偶者と死別しており、その遺産を相続した。
  4. 財産の半分が不動産などの分割しにくいものである。
  5. 会社を経営している。
  6. 個人事業主である。
  7. 葬式のやり方や墓について、こだわりや希望がある。
  8. 介護、または家事を手伝ってくれた子どもがいる。
  9. 結婚しているが子どもはいない。
  10. 子どもが2人以上いる。
  11. 親と同居している子どもと、別居している子どもがいる。
  12. パートナーがいるが、入籍はしていない。
  13. 特に、学費・結婚・企業などで援助した子どもがいる。
  14. 親族以外に、死後何らかの財産を残したい。
  15. 数回結婚をしており、それぞれの相手との間に子どもがいた。
  16. 子ども達との仲が悪い。
  17. アパート、マンションなどの賃貸物件を所有している。
  18. なくなったのち、ペットの世話が気がかりである。

遺言書作成の準備

財産リストの作成

財産は具体的に記載する必要があります。
例えば、不動産は以下の情報を記載します。

  • 土地・・・・・所在、地番、地目、地積
  • 建物・・・・・所在、家屋番号、種類、構造、床面積
    ※所有者が遺言者本人になっていない場合には事前に移転登記が必要となります。

預貯金などは以下の情報を記載するため、通帳をご用意ください。

  • 預貯金・・・・・金融機関名、支店、種類、口座番号

その他の財産と思われるものは一覧にしておくと便利です。

  • 株券などの有価証券
  • 自動車
  • 美術品
  • 貴金属
  • その他高価な財産
  • 負債(借金・ローン)

相続人の確認

第一順位の相続人

配偶者とともに相続人となります。
子がすでに亡くなっている場合にはその子(孫)が相続人となります。

第二順位の相続人

第一順位の相続人がいないときに相続人となります。
祖父・祖母は父母のいずれも亡くなって
いる場合に相続人となります。

第三順位の相続人

第一・第二順位の相続人がいないときに相続人となります。
兄弟姉妹が亡くなっている場合にはおい・めいが相続人となります。
ただし、おい・めいの子は相続人になることはありません。

家族のパターン 法律で定められた相続分 最低限持っている相続分(遺留分)
配偶者と子 配偶者 1/2  子 1/2 配偶者 1/4  子 1/4
配偶者と父母 配偶者 2/3  父母 1/3 配偶者 2/6  父母 1/6
配偶者と兄弟姉妹 配偶者 3/4  兄弟姉妹 1/4 配偶者 1/2  兄弟姉妹 ありません

遺言書作成の手順

せっかく作った遺言書が無効だった…
貴方の遺言書は大丈夫ですか?

どなたでもお気軽に「確かな遺言書作成」をサポートします。

遺言書作成と併せて「尊厳死宣言」を利用される方々が非常に増えております。
公正証書遺言・秘密証書遺言・自筆証書遺言(新制度)の作成について
まずは、お気軽にお問合せ下さい。

相続を争族にしない遺言書

遺言書がないために兄妹が争いになったケースです。
四人家族で夫婦と子供2名(兄妹)、お母さんが亡くなられてからお父さんと兄妹で暮らしておりました。その家は代々長男に引き継がれており、お父さんの後は兄が住むことに生前のお母さんもお父さんも妹も承諾しており、お兄さんもそのつもりでした。
妹が結婚して、お家から出ていきました。兄は結婚せずお父さんと二人で生活していましたが、しばらくしてお父さんがお亡くなりました。
兄と妹夫婦で葬儀も済ませ四十九日が終わった頃に相続の話になりました。お父さんの意向で、葬儀代以外の現金300万円は妹にもたせてやりなさいと言われ、それに従い、現金を妹に渡そうとしたら、それだけでは足りないよと言われたそうです。

金はこれしか残ってないし、俺がネコババしてるとおもってるのか?と問いかけると、現金はそれでいいけど、家も相続財産だし、私にも権利がある、例えば この家が2千万円なら私に1千万円もらう権利がある、300万円も半分でいいからと……。
この家は、歴代嫡子相続をしているのは、お前もわかっているだろし、俺が貰うのに父さん、母さん、お前も同意してただろと主張したのですが、住むことは承諾したけど 相続財産で私にも権利がある、どうやら、妹の婿の遺留分に対する入知恵だったようです。
その後、お兄さんは代々の家を売って現金にして分けようと言った妹に激怒して、300万円の現金から何も取らずに妹に全相続部させ、家を出ていったそうです。ドラマのようなストーリーが身近にあることに愕然としました。身内だから争わない、そんな保証は何も無い。
悲しい結末だけが残りました。相続を争族にしない、遺言で想いを形に代えましょう。